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・宇宙よりも遠い場所 第13話「きっとまた旅に出る」
・恋は雨上がりのように 第3話「雨雫」
・ゆるキャン△ 第5話「二つのキャンプ、二人の景色」
・新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION 第23話「出動!! シンカリオン 500こだま」
・HUGっと!プリキュア 第16話「みんなのカリスマ!? ほまれ師匠はつらいよ」
・ヤマノススメ サードシーズン 第10話「すれちがう季節」
・うちのメイドがウザすぎる! 第6話「うちのメイドの昔のオンナ?」
・風が強く吹いている 第8話「危険人物」
・みんなのうた「父さんの汽笛」
・クレヨンしんちゃん 第969話C「いつものオラだゾ」
ルール
・2018年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
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【各話コメント】
・宇宙よりも遠い場所 第13話「きっとまた旅に出る」
(脚本:花田十輝/絵コンテ・演出:いしづかあつこ/作画監督:吉松孝博、室山祥子)
物語が綺麗に着地を決め、エンドクレジットを感傷的に眺める時間。最後に用意されていたのは第5話で描かれた高橋めぐみの「その後」だった――。充実のシリーズを締めくくるにふさわしい、最終回の名品。全く予想していなかった角度からボールを投げてこられた意外感、そして「めぐっちゃん」という存在を最高の形で活かしきった結末の展開は、あまりにも鮮やかだった。
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・恋は雨上がりのように 第3話「雨雫」
(脚本:赤尾でこ/絵コンテ・演出:河野亜矢子/作画監督:大杉尚広、加藤万由子)
17歳のまっすぐな恋心に戸惑う、45歳の哀愁を描いた好編。近藤に向かっていくあきらの瑞々しくアクティブな姿は、まさに「恋する乙女は小さな野獣」といった雰囲気で微笑ましい。フライシャー兄弟の『バッタ君町に行く』を鑑賞するたびに、「中年男が若い娘に熱を上げるのは危険なことだ」と感じる自分にとって、その関係を逆転させた『恋雨』のドラマはとても面白かった。
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・ゆるキャン△ 第5話「二つのキャンプ、二人の景色」
(脚本:伊藤睦美/絵コンテ:京極義昭/演出:鎌仲史陽/作画監督:大島美和、堤谷典子)
ソロキャンに流れる豊かな時間と、仲間同士で過ごす野クルメンバーの楽しさ。キャンプごはんの食欲をそそる描写と併せて、『ゆるキャン△』の魅力が凝縮された一篇。SNSでのやりとりが作品の大きな肝となっている本作において、ラストの「夜景交換」はその白眉ともいえる名場面だった。
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・新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION 第23話「出動!! シンカリオン 500こだま」
(脚本:大知慶一郎/絵コンテ:紅優、鵜飼ゆうき/演出:中村近世/作画監督:鈴木伸一)
ハルカが父親の浮気を疑う回。自分の子供時代を振り返って、こうした感情・体験には思い当たる節があったので、何とも懐かしい気持ちになった。だけど、疑われた方はたまったもんじゃないよなあ。シンカリオンに乗り込んで戦うホクトのカッコよさ、「お父も所詮ひとりの男なわけで」「この泥棒猫!」といった愉快なセリフも二重丸。
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・HUGっと!プリキュア 第16話「みんなのカリスマ!? ほまれ師匠はつらいよ」
(脚本:村山功/絵コンテ:渡邊巧大/演出:川崎弘二/作画監督:渡邊巧大)
陰影を含んだ午後の教室、雨の公園内を走る二人、夕空に向かって突き上げた掌を強く握りしめるクライマックス等。全編見どころ満載の『はぐプリ』を代表する名エピソード。田中裕太演出の第15話がコメディ調の快作だっただけに、二週続けてとなる傑作回のつるべ打ちは、相当なインパクトだった。
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・ヤマノススメ サードシーズン 第10話「すれちがう季節」
(脚本:ふでやすかずゆき/絵コンテ・演出:ちな/総作画監督:松尾祐輔/作画監督:今岡律之)
キャラクターの心情に寄り添った仕草やポーズ、リアクションの丁寧な積み重ねが光る『ヤマノススメ』シリーズの到達点。頻出される空間を広く使った画面構成は、本話の底流にある「静かな孤独感」をよく表わしていた。特に飯能駅構内を一人歩くひなたを捉えた、寂しげな情感漂うカットは忘れられない。
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・うちのメイドがウザすぎる! 第6話「うちのメイドの昔のオンナ?」
(脚本:子安秀明/絵コンテ:三原武憲/演出:角松倶楽部/作画監督:濱口明)
「濱口明、いルか、けろりら、Uno、ウチダケン、新沼拓也、山本裕介、山本悦子、大津豪、中村颯、浜口コンボイ、知覚過敏、野りんご、LEON、歳谷潤堂、bk、たいぷはてな、ねこパンツ、ひまおう」。本編のはっちゃけたノリを堪能した後、この原画陣の並びを見て大いに笑った。
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・風が強く吹いている 第8話「危険人物」
(脚本:喜安浩平/絵コンテ・演出:那由多十三/作画監督:名倉智史、鈴木明日香)
過去の「10選」にも選出してきた『ハイキュー!!』『ボールルームへようこそ』に連なるProduction I.G作品の系譜。いずれのタイトルも、映像面の高まりと登場人物たちの爽やかなドラマがリンクして、観ていて気持ちの良いアニメーションに仕上がっていた。本作『風が強く吹いている』もその例外ではなく、とりわけこの第8話は画面の際立った充実ぶりが印象的。テンションをさらに上げていくであろう、第2クールの展開にも期待したい。
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・みんなのうた「父さんの汽笛」
(うた:さかい ゆう/アニメーション:南家こうじ)
南家こうじ通算43本目となる「みんなのうた」担当作品。色鉛筆調の画風に、流麗なアニメートと線の魅力は健在で、何度観ても惚れ惚れとさせられる。南家の全仕事を網羅した映像ソフト――「南家こうじコンプリートボックス」の実現を願わずにはいられない。
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・クレヨンしんちゃん 第969話C「いつものオラだゾ」
(脚本・絵コンテ・演出:ムトウユージ/作画監督・原画:木村陽子)
野原しんのすけ役・矢島晶子最後の演技。わずか36秒間の短いストーリーのなかに、27年間にわたって作品の顔であり続けた歳月の重みや、制作スタッフからのねぎらいが込められていたように思う。「何かを積み重ねていくことでしか、達成できない物事がある」と改めて気付かせてもらった。矢島さん、長い間本当にお疲れ様でした。
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